国家試験の質・難易度を一定に保つために、平成16年から導入されたのが試験問題のプール制です。
プール制とは、あらかじめストックした問題をそのまま、もしくは改変して繰り返し出題する方法のことです。ここでは、今回の国家試験でプール制による、つまり過去の問題と類似したものがどの程度あったか検証しました。
(各数値は、第93回~107回の問題で集計したものです。)
「約4問に1問」
前提として、プール制の出題形式を以下の2種類に分けて考えます。
①問題文・選択肢を含めて、ほぼ同じ内容
②問題文や選択肢は異なるが、問われているのはほぼ同じ内容
※後ほど具体例をご紹介します
上記の2種類を合わせると、240問中64問がプール制による出題という結果になりました。実に約4問に1問がプール問題ということになります。
さらに、必修と一般・状況設定問題に分けてプール問題を集計すると、驚きの事実が見えてきました。
プール制による出題数(問題種別)
①ほぼ同じ
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②問われている内容はほぼ同じ
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①+②
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必修 問題 |
8問
/50問 |
22問
/50問 |
30問
/50問 |
一般・ 状況設定 問題 |
6問
/190問 |
28問
/190問 |
34問
/190問 |
合計 |
14問
/240問 |
50問
/240問 |
64問
/240問 |
なんと「必修問題の60%(50問中30問)がプール制による出題」でした。このことは、必修問題が「落とすためではなく看護師として必ずおさえておくべき知識を確認する問題」だということを分かりやすく示しています。ご存じのとおり、必修問題の合格基準は80%です。プール問題対策(過去問対策)がいかに大事か、言い替えれば過去問対策をおろそかにすると確実に落ちてしまうことを示す結果といえます。
「①問題文・選択肢を含めて、ほぼ同じ内容」の例
1.難聴 2.悪心 3.易感染 4.満月様顔貌
⇩
1.難聴 2.悪心 3.易感染 4.低血糖
1.肺炎 2.心疾患 3.悪性新生物 4.不慮の事故
⇩
1.肺炎 2.心疾患 3.悪性新生物 4.不慮の事故 5.先天奇形,変形及び染色体異常
「②問題文や選択肢は異なるが、問われている内容はほぼ同じ内容」の例
1.携帯電話 2.ライター 3.電動歯ブラシ
4.磁気ネックレス
⇩
1.横に倒して保管する.
2.保管場所は火気厳禁とする.
3.バルブを開放して保管する.
4.日当たりの良い場所で保管する.
※どちらも「酸素ボンベの使用・管理時は火気厳禁とする」という知識が問われています。
1.嘔吐 2.下痢 3.腎不全 4.飢餓
⇩
1.血尿 2.低体温 3.体重増加 4.アルカローシス
※問題文は大きく異なるものの、「嘔吐によってアルカローシスになる」という同じ知識が問われています。
『プール問題はどれくらい出題されている?』のまとめ
- 必修問題は、60%(50問中30問)がプール制による出題!
- 一般・状況設定問題は、18%(190問中34問)がプール制による出題である
- 必修問題でよくプール問題が出題される理由は、「必修問題が落とすためではなく,看護師として必ずおさえておくべき知識を確認する問題」だからである
- プール問題対策=過去問題演習。つまり、過去問演習をおろそかにすると、国家試験に合格できないといえる
第108回に向けた対策
過去問や、過去問を分析して作られた予想問題を数多く演習する
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