食事介助の姿勢をみるポイントは?
看護実習生のミエ子ちゃんは、師長さんに“食事介助時の患者の姿勢”について質問されました。
観察ポイントはスラスラと答えられたミエ子ちゃんですが、「そのポイントをみる根拠は?」とさらに問われ、固まってしまいます。

おやおや?ミエ子ちゃんは『看護がみえるvol.1基礎看護技術』を見て、根拠を発見したようですよ。
私たちも食事介助時の患者さんの体位を整えるポイントとその根拠について、一緒に確認してみましょう!
『看護がみえるvol.1 基礎看護技術』「食事援助」章 p.116より

このように、食事介助時の患者さんの体位を整えるポイント(観察項目)として、次の6つを挙げています。
①体位 ②テーブルの高さ ③足 ④頸部 ⑤体幹 ⑥殿部
1つずつ見ていきましょう。
①体位
姿勢は、「患者さんのADLや耐久性に合わせた坐位または坐位に近いファウラー位」をとるようにしましょう。
ではなぜ、坐位または坐位に近いファウラー位にするのでしょうか?
なぜなら:「自己摂取しやすく、胃食道逆流を起こしにくい体位だから」です。

②テーブルの高さ
テーブルの高さは、「テーブルに肘が自然につく高さ」にしましょう。
ではなぜ、テーブルの高さを観察するのでしょうか?
なぜなら:「高すぎると深い皿に盛った食べ物が見えず、頸部を伸展しがちになるから」です。

テーブルの高さが適していない場合は、高さ調節が可能なテーブルを使用したり、車いす乗車時は車いす用のテーブルを使用したりして適宜調節しましょう。
③足(車いす乗車時)
車いすに乗車している場合には、足の位置は「足底が床についている」ようにしましょう。
ではなぜ、足底が床についている必要があるのでしょうか?
なぜなら:「床につけることによって支持基底面が拡大し、姿勢を安定させやすくなるから」です。


足底が床についていない場合は、フットレストから足をおろしたり、足台を利用したりするようにしましょう。
④頸部
頸部は、「屈曲位がとれている」ようにしましょう。
ではなぜ、頸部屈曲位をとる必要があるのでしょうか?
なぜなら:頸部屈曲位をとることにより、「咽頭が広がり気道の入り口が狭くなることによって、誤嚥のリスクが低くなるから」です。

頸部屈曲位がとれていない場合は、適切な高さのテーブルの使用や、リクライニング車いすへの変更、体位をファウラー位にするなどの工夫をしてみましょう。
⑤体幹
体幹は、「左右に傾いていない」ようにしましょう。上肢の麻痺がある場合は、「麻痺側の上肢をテーブルの上に置いている状態」にしましょう。
ではなぜ、上肢の麻痺がある場合、麻痺側の上肢をテーブルの上に置く必要があるのでしょうか?
なぜなら:麻痺があると「麻痺側に身体が傾いてしまうから」です。


身体が傾いている場合は、肘置きのある椅子や車いす、クッションなどを使用し、調整しましょう。
⑥殿部
殿部は、「深く腰掛けられている」ようにしましょう。
ではなぜ、深く腰をかける必要があるのでしょうか?
なぜなら:殿部がずり落ちて仙骨座りになると、「頸部が伸展しやすい状態になるから」です。


効果的に深く腰かけられていない場合は、クッション下に滑り止めを置いたり、椅子と身体の隙間をバスタオルやクッションで埋めたりすることで、深く腰かける姿勢をキープできるようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?
『看護がみえる』では、他にも多くの観察項目やその技術を行う根拠を記載しております。
あなたもミエ子ちゃんと一緒に、“根拠”の達人を目指しましょう!
『看護がみえるvol.1 基礎看護技術』について詳しくはこちら
『看護がみえるvol.2 臨床看護技術』について詳しくはこちら
