コラム:看護診断を使わない場合の目標・成果・成果指標の設定方法
書籍『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』では、看護過程を6つのステップ(アセスメント、看護診断、目標・成果・成果指標の設定、看護計画の立案、看護介入の実施、評価)で示しています。そのなかで、目標・成果・成果指標の設定とは、看護の対象者がどのように変化することを目指すのかを具体的に定めるステップです。書籍では、主に看護診断を用いた目標・成果・成果指標の設定を解説していますが、もちろん、看護診断を使用しない場合でも、同じように目標・成果・成果指標を設定することができます。
コラム:看護診断を使用した場合と使用しない場合の目標・成果・成果指標の設定方法
看護診断を使用した場合 | 看護診断を使用しない場合 | |
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目標 看護診断(看護問題)が解消した、あるいは良いなりゆきが実現した状態 |
看護診断の診断名や、定義から導く。 | アセスメントの結果、明らかになった看護問題(不適切だと解釈された「人間の反応」)から導く。 |
成果 目標の達成状況を示す具体的な状態 |
診断指標や、関連因子、危険因子から導く。 | ・人間の反応が適切かどうかを解釈する際に根拠とした情報(診断指標にあたる) ・看護問題の原因・誘引を示す情報(関連因子にあたる) ・リスク型看護問題の危険因子を示す情報 から導く。 |
成果指標 成果の達成状況を示す具体的な指標 |
成果をもとに導く。 ※主語、行動・状態、条件、達成基準、達成期間といった要素を満たすように記述する。 |
看護診断を使用する場合と同じく、成果をもとに導く。 ※主語、行動・状態、条件、達成基準、達成期間といった要素を満たすように記述する。 |
また、看護診断を使用しない場合、それぞれ次のように目標や成果、成果指標を設定していくこととなります。
実在型の看護問題の場合
目標 | 問題の解決や受容 |
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成果 | ①「人間の反応」が適切でないと解釈する根拠となった情報が改善に向かうこと ②分析で明らかにした原因・誘因の解決 |
例 | 目標:便秘の解消 成果:①便秘の症状が改善する、②水分摂取量が増える 成果指標:①1週間後までに毎日排便するようになる、②1週間後までに1日1,200mL以上の水分を摂取できるようになる |
リスク型の看護問題の場合
目標 | 好ましくない将来的な、なりゆきの回避 |
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成果 | アセスメントで将来的ななりゆきを分析した時に明らかにした危険因子の解決や軽減 |
例 | 目標:転倒転落の回避 成果:不慣れな病棟の環境に適応できる 成果指標:初回歩行時に患者さんが点滴スタンドの注意点について述べることができる |
ヘルスプロモーション型の看護問題の場合
目標 | より良い健康実現に向かう行動の強化 |
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成果 | 意欲・願望を示す情報に着目し、意欲・願望が行動につながっていく変化 |
例 | 目標:健康管理の強化 成果:症状管理の能力が向上する 成果指標:退院までに患者さんが退院後の薬の管理方法(保管場所、内服のタイミングなど)を具体的に述べることができる |
引き続き、看護診断を使わない場合の看護計画の立案方法を知りたい方は、こちらをタップしてください▼
【コラム:看護診断を使わない場合の看護計画の立案方法】
(『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』p.137より一部改変して掲載)
関連するキーワードと『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』の対応ページ
キーワード | 対応ページ |
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看護診断 | p.116~129 |
目標・成果・成果指標の設定 | p.130~137 |
アセスメント | p.40~69 |
看護問題 | p.41 |
「人間の反応」 | p.12 |
「人間の反応」の解釈 | p.92~94 |
「人間の反応」の分析 | p.95~102 |
なりゆきの分析 | p.99~102 |
成果指標 | p.133 |
