第109回の新テーマ・新傾向は?
ここでは、今回の国家試験で過去出題されたことない新テーマにはどのようなものがあるか。また、どのような新傾向問題が出題されたのかをみていきます。
新テーマにはどのようなものがあったか
過去10年分の国家試験出題内容を弊社で分類し、その既出テーマに当てはまらない項目を調べてみたところ、「新テーマ」とみなされたのは以下3項目となりました。実際どのような問題が出されたのかみてみましょう。
国試番号 | 種別 | テーマ | 正答率 |
109A112~A114 | 状況 | 成人の自閉症スペクトラム障害 (小児から精神へ) |
88.2%/60.6%/63.1% |
109P027 | 一般 | 口腔顎顔面の筋 | 71.1% |
109P083 | 一般 | 加齢黄斑変性 | 48.4% |
新テーマ問題の例
112
看護師が入院時に聴取する情報で優先度が高いのはどれか。
1.業務量の変化
2.職場での人間関係
3.最近1か月の生活状況
4.無断欠勤に対する親の反応
1.文字や図を用いて説明する。
2.確認を繰り返す理由を尋ねる。
3.複数の情報を同時に提供する。
4.状況を考えて行動するよう説明する。
1.「混乱するAさんを職場の人がどう見ているか想像しましょう」
2.「多くの人からアドバイスをもらいましょう」
3.「混乱した原因を周囲の人に説明しましょう」
4.「1人で落ち着ける場所に移動しましょう」
1.羞明 2.霧視 3.飛蚊症 4.眼圧の亢進 5.中心視野の欠損
新傾向問題はどのようなものが出題されたか
それでは、新傾向問題(テーマは既出だが問われ方が今までと少し異なる問題のこと)はどのようなものが出題されたのでしょうか。
新傾向問題の例
1.肝硬変 2.糖尿病 3.尿路感染症 4.ネフローゼ症候群
考察
本設問では、尿ケトンはブドウ糖が欠乏し脂肪が分解されるときに生成されるという知識が必要となりました。過去の国家試験では、脂肪分解の過剰で血中に増加するのはどれか(99A28)、食事がとれない妊婦のアセスメントなど(99P109)で出題されたこともありますが、尿ケトン体が陽性になる疾患、という切り口で出題されたことはありません。
正答率は77%と必修としては高くはないです。過去で問われた問題を知識としてしっかり習得しているかが問われており、知識の有無をうまく引き出せるかという意味では良問であると思われます。
1.単球 2.好酸球 3.好中球 4.好塩基球 5.リンパ球
考察
本設問では、それぞれの血球の機能や急性炎症の過程に関する知識が必要となりました。過去の国家試験では、慢性炎症に特徴的な所見はどれか(106P76)、や白血球の機能について問う問題(103P30)などが出題されたことがありますが、これらのテーマを組み合わせて問うことはありませんでした。過去問の知識を覚えるだけではなく、その周辺知識もきちんと学習しているかが問われた問題でした。
1.低カリウム血症
2.高カルシウム血症
3.高ナトリウム血症
4.低マグネシウム血症
考察
低カリウム血症については、これまで腎臓に関連した出題が多くみられていました。今回のように「嘔吐や下痢などによって消化管からカリウムが喪失する」という知識はほぼ出題されていません。消去法で正解にたどり着いた学生さんも多いと思われますが、知識としてより高度なことが求められていると思われます。
『新規問題と新傾向問題はどのようなものが出題された?』のまとめ
第109回国家試験では、完全に新規の問題は3問しか出題されませんでした。新規性のある予想問題よりも、過去問を中心に学習し、その周辺知識を身に付ける必要があるといえるでしょう。